日本大学理工学部駿河台校舎1号館


新1号館の建築

 新1号館は、72年にわたり理工学部の歴史を刻んだ旧1号館の建築の設計思想を継承するとともに、一方では大きな変容が意図されています。旧1号館は学校の象徴性や威厳を強調することなく、技術者養成の〈実験学校〉として、その時代の技術を結集し、虚飾を廃し、実用的で将来何にでも転用可能な設計思想のもとに建てられたといわれています。新1号館はその思想を継承し、技術の結集によってその時代性を表象し、意匠的には簡潔で、将来の変化にフレキシブルに適応できる建築をめざしています。一方、旧1号館はネオゴシックという様式で建てられ、重厚でどちらかというと閉鎖的なファサードでしたが、新1号館はこれとは正反対に、ガラスカーテンウォールによる透明性の高い開放的なファサードをもつ建築へと変容を図っています。
 道路沿いに展開するガラスカーテンウォールに囲まれた空間は、学生や教員が自由な雰囲気で交流し合うロビーやラウンジといった共用空間で、学外の人も対象とした研究発表や作品展示、レクチャー等も行える多目的な場所です。つまりこのガラスカーテンウォールで囲まれた空間は、大学の多様なアクティビティを外部に向けて発信する〈理工学部のショーウィンドー〉的な役割を担っています。このように都市に開かれた透明性の高いファサードは、理工学部のアイデンティティを示す〈顔〉として社会に認知され、これからの時代を担う若きエンジニアに永く親しまれることを期待したものです。
 新1号館の計画にあたっては、サスティナビリティと省エネルギー対応が、技術的に重要な課題として位置づけられました。まずこの建物は100年建築をめざすこととしました。とくに建物の耐久性で最も重要な構造躯体の耐震面では、トグル制震という新しい技術にチャレンジしています。また大学がこれから激変の時代を迎えようとしているとき、耐用性という観点からいうと、この施設の大教室などの用途も将来大きく変化するであろうことが予想されます。そのために教室などの目的空間は、スケルトン・インフィル的な発想を取り入れ、用途変更に応えられるように、各階16×43mの無柱空間にするとともに、内装材や電気・情報通信機器、設備機器などの交換が容易にできるように計画しています。
 そしてこの建築では、快適な居住環境を確保しながら、いかに省エネルギー化を図るかという意味で、数々の技術的な試みがなされています。とくにガラスを多用したファサードのいろいろな省エネルギー対策や、深夜電力による氷蓄熱方式の採用、そして太陽光発電による自然換気の計画など、現代の技術を駆使した省エネルギー化が図られています。
 
  
 
  
 
   
  
 
   
  
     
  
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photography:Toshiharu Kitajima