駿河台校舎5号館耐震改修工事のための研究室移転のお知らせ


改修5号館の建築

宮川英二(1915−1989)設計の名作である5号館は我が国のニュー・ブルータリズムの名建築であり、「日本大学理工学部駿河台校舎1号館」と共に日大理工学部のシンボルであります。1950年代のニュー・ブルータリズムにおいて、通底しているのはモダニズムの規範であるピロティ、吹き抜け、屋上庭園、コンクリート打ち放しなどであるが、この5号館は柱がテーパーしており、同時期に建てられた建築物に比べて、よりブルータルな建築物となっています。
今回の改修において、意匠面では宮川のデザインを確保しつつ、新たな建築学科棟としてキャンパス内に構築するように計画しました。一方、構造面での大きな目的は耐震リニューアルでありました。本改修では「ダイナミック・マス」を利用した3階の中間階免震と1−2階の「トグル制震」を併用したハイブリット構法を採用しています。「ダイナミック・マス」は減衰こまというデバイスを用いることで、通常の免震構造物では30cm程の変形が発生してしまうものを15cm程に抑えることが可能となったのです。また、1−2階にはトグルダンパーを2基配置しており、地震エネルギーを効率よく吸収するように設計されています。
このように、3階免震と1−2階の耐震・制震を多様に組み合わせることで、既存のデザインを損なうことなく、耐震リニューアルを可能にしました。

5号館改修検討委員会
 
   
 

 
     
 
     
 

建築概要
建物名称 日本大学理工学部駿河台校舎5号館改修
建築場所 東京都千代田区神田駿河台3−11−2
建築主  学校法人日本大学
建築面積 629.45m2
延床面積 5785.79m2
階数   地上9階、地下1階
構造   基礎  べた基礎
     骨組  SRC造 3階柱頭部に免震装置を設けた中間階免震構造
     床   RC造、一部PC版
     耐震壁 RC造

■竣工時
設計者  建築   日本大学理工学部建築学科
          宮川研究室(宮川英二)
     構造   日本大学理工学部建築学科
          斎藤研究室(斎藤謙次)
     曲板構造 本大学理工学部建築学科
          加藤研究室(加藤渉)
共同管理 日本大学本部営繕課
施工   清水建設
竣工   1959(昭和34)年9月

■改修時
監修   5号館改修検討委員会
     (今村雅樹、石丸辰治、井上勝夫、早川 眞、古橋 剛、白井伸明、高宮真介)
設計者  清水建設一級建築士事務所
施工者  清水建設
管理   日本大学本部管財部
竣工   2008年2月