SELECTION
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西田司賞
妹尾美希
renovation² -人が通る道から始まるリノベーション住宅-
Super Jury

現在、この敷地には木造アパートを改修した小さな複合施設である「HAGISO」が建っています。また、近隣には谷中の街全体をホテルに見立てる「hanare」もあります。私はこの地域に寄り添った建築が魅力的だと思い、来るべき未来に向けて、この「HAGISO」を保存しながら改築する提案を行います。
「HAGISO」の内装や外観、構造の一部を残し、プログラムとしてもギャラリーとカフェの機能を引き継ぎます。敷地が面するT字路に対して、新たに斜めにショートカットする通路を設計し、それに沿って既存建築を切断しています。通路の上には新設のボリュームを配置し、地上階はトンネル状の通り抜けられる空間としました。

2階平面

1階平面

街の人を引き込むために、ギャラリーをショーケースとし、北東側のカフェを引き継ぎ、通路入口に一息つけるような屋外空間を設置しています。
新設部分は既存と同じ瓦屋根を採用し、天井高を抑え、小さなボリュームにすることで、人の流れを引き込むように計画しています。また、塀を格子状にすることで、重い印象をなくし、視線の抜けを確保しています。

1階は内壁とドアを設けた閉じた個の空間として、2階は家族の集まる開放的な空間として対比的なものにしています。2階には大きなベランダや開口を設けて、外の人との視線が交わるように計画しました。室内や屋外に構造を露出させ、既存の空間を読み替えた利用ができるように計画しました。

断面

講評
西田司

建物を切断して外部をつくると、普通はそこに向かって大きな窓をつくりたくなりますが、土壁を塗り込めて閉じているのがユニークです。その上に浮いているボリュームもおもしろいですね。既存を継承するならば、通路をすべて屋外のギャラリーとしても良かったと思いました。ボリュームを路地状に抜いたあとの状態を観察し、その空間性を深掘りすると発見があります。

石川初

改修された「HAGISO」を、さらに改修しようという前提がおもしろいですね。既存へのリスペクトを示していて良いと思います。新設されたこの通路の始まりと終わりでは、実は1m程度の高低差があるので、それを活かした計画もできたと思います。これからの時代は、改修を重ねた時の判断が重要になってきます。絵の一部を消してみるとその下から古い絵が出てくるようなことがあるかもしれません。

秋吉浩気

「HAGISO」を改築するに至った経緯、想定が気になりました。具体的に、何年後にどのような理由や意味があってこの改修が始まったのかというストーリーを言語化してもらえると良かったですね。