SELECTION
  • 1 / 3
  • 2 / 3
  • 3 / 3

小林由実
谷中の小道
Super Jury

地域の人々や観光客も利用できる共有スペースがある、5人の大学生のシェアハウスを計画しました。
古い住宅や寺院が多く残る谷中の街並みは少しずつ変化しています。この風景を守るために、人々の交流を増やし、谷中の街並みの良さを知ってもらうことが必要だと考えました。谷中の道には様々な魅力的な交流があります。商店街では、店の前には机や椅子が並び、憩うことができ、道から店にふらっと入ることができます。建物がまっすぐ配置されず、凹んだ部分は交流の場です。こうした考察を元に、谷中の道が立体化し挿入されたような住宅を計画しました。

大きな壁ではなく、バラバラな箱を積み重ねるように設計することで、様々な抜けつくり、建物の圧迫感を減らしています。それらの抜けは、暗くなりがちな1階に光を導いています。
1階には谷中の観光客や地域の人が立ち寄れるスペースを設けます。曲がり角に面した部屋は、床の高さを道路より1m下げることで 、外から中の様子が伺うことができます。共有のキッチンを設置し、地域の人たちが集まり、食事ができるようにしました。1階の共有部から2階のギャラリーに入ることができます。2階と3階の個室の前には住民の趣味や特技が溢れる道のようなスペースを計画し、例えば絵を飾ったり、ピアノを置いたり、本を貸し出したりできるようにしています。3階には住民の共用リビングを設け、可動壁を開くことで多目的室として住民と地域の人々が交流できる計画としました。

平面

講評
西田司

賃貸なのかシェアハウスなのか家なのか、それらの差がなく積み上がっていく感じがドライかつシステマティックでおもしろいと思いました。2階のギャラリー部分も良いですね。個室についても、例えば外周の窓のあり方、共有部への関係などをもっと考えられると思います。

石川初

住人が物を廊下に出すことで風景をつくっていくというアイデアに魅力を感じました。植栽の方法として、1本大きな樹木を植えるのではなく、小さな樹木を集める寄せ株がありますが、それの建築版だと思いました。

秋吉浩気

個室と共有部との境界を、建具のスケールではなく、壁くらいのスケールの物を動かすことで決めてもおもしろい関係性をつくることができそうです。谷中は路地だけではなく、「夕やけだんだん」のような階段などにも猫が集まっているというイメージもあります。何か大きな活動を包摂できるような空間があっても良いのではないかと思いました。