SELECTION
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有賀未貴
mine:それぞれの見方
Super Jury

人はそれぞれ日常・非日常を楽しみ、時間と場所を選んでいます。住む人や訪れる人がそれぞれの代官山の価値を感じ、住む人たちが充実した生活が送れるような空間を考えました。
人々と自然とが混ざり合う、見え方、感じ方、つながり方の3つを計画します。
代官山としての見え方と住まいとしての見え方を分け、大人の街としての印象を壊さないようにします。両方の見え方が混ざり合うよう、間の空間を開放し、視線が抜けるようにしています。
感じ方としては、住宅を外へと広げていくことで、プライベートを楽しみながらも代官山に住むことの価値が感じられます。つながり方としては、階によって住戸の境界線を変え、住戸と住戸が孤立せずに、ひとつの空間として関係性を持ちます。

配置を南側に寄せて旧山手通りに対する圧迫感をなくし、北側と西側に異なる休憩スペースを配置することで、訪れた人は自然と立ち止まります。
メインエントランスは東側、共用部は西側として、外に出る人と、空間を楽しみたい人の居場所を設けます。住む人と訪れる人が一緒に利用することで自然と混ざり合います。
共用部は、外の開放感と、室内の安心感の両方を得られる空間です。住人は代官山の価値を感じ、訪れる人は家にいるような安心感を得られます。
1階から続く螺旋階段は、室内、半屋外、屋外と変化し、次にどんな空間が広がるか、期待と高揚感を持ちながら上がっていきます。階ごとに異なる景色があります。

1階西側は、公園のように開放して、子どもたちが自由に遊び、囲まれた空間なので安心して遊ばせることができます。
2階では、1階のカフェやお店で買ったものを楽しむことができます。南側に向けて下がっているため、2階でも上から眺めているように楽しめるようになっています。オープンカフェは、使う人の目的に合わせて空間が変化します。
3階は貸し出しスペースで、北側を大きく開放することで、景色を楽しむことができます。吹抜けから空が見え、外部空間が感じられます。
4階のバーでは、夜景を楽しむと共に、開口部から隣接する住戸の光が見え、日常の温かさが感じられます。住人が運営し、バーが休みの日は居住者のプライベート空間になります。共用部は使い方によって、訪れる人が混ざり合います。

1階平面

4階平面詳細

集合住宅の1階エントランスホールは広々とした空間で、コミュニティの場となります。階段下には緑があり、寛ぐことができます。住戸共用部は階段の後ろを吹抜けにして、上下階がつながります。壁はグリーンウォールとし、上下や外へとつながっていきます。
また、住戸の共用部側に高窓を設け、それぞれの日常が漏れ出します。住戸内は水回りなどをまとめ、その他は自由に計画します。どの住戸も浴室から外が見えます。住む人が自分の城として築き、ここに住む価値を味わうことができます。

講評
木内俊克

内外の関係がおもしろく、特徴的な建物になっています。ルーバー越しに空が見えたり、下の見え方などの経験によって、住む人にとって魅力的な建物になると思います。逆に、ルーバーに閉塞感が出てしまうと辛いので、そういう意味では、庭の空間がもっと具体的にパースなどで表現されていると、この提案の意味が伝わってきたと思います。

勝矢武之

全体として良いと思います。最近、地上階に共用部をつくって住民と街の触れ合いの場にするなどの提案が実際に増えていますが、それが立体化されていて、地上5階に住民が営むバーがあるというアイデアも結構おもしろいと思いました。上に向かってスキップ状に抜けている空間の感じや、吹抜けのつながりも良いですね。