SELECTION
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卒業設計選奨
相川文成
Takadanobaba Public Station -駅、広場、建築の関係性再編による公共性を孕んだ高田馬場駅再編計画-
卒業設計

高田馬場駅は、線路、車主体の広場、大きな商業施設により、街の人々の流れが断絶されています。構想されている駅と商業ビルとの一体化による再編計画は、街のために機能するのか、疑問に思いました。そこで私は、駅周辺の環境を巻き込み、街の中心としての公共空間を備えた駅ビルを提案します。

高田馬場駅周辺には、教育・研究施設と多国籍の人々が暮らす住宅街が隣接しています。それらの人々との関係性を考え、プログラムとしてLibrary(図書館)とSports(運動施設)を提案します。図書館は近接するプログラムに合わせて、関連書籍を配置することでつながりをつくります。運動施設は、早稲田通りに面して配置することで、言語が違っていても多様な人々と交流できるような場とします。
ボリューム配置として、高層化した駅舎と商業ビルの2棟を建て、地上レベルにオープンスペースを確保します。プラットホームに向けた商業施設のファサードには、高田馬場を表象するアクティビティが並び、地域特有の賑わいが発信されます。2棟の間には大屋根とブリッジを複数かけ、巨大なアトリウム空間によって相互に人々の視線が行き交う空間を創出します。

断面パース

最上階に位置するレクチャールームでは、講義を行う様子が駅側に宣伝されるとともに、講義を聞く人たちからも駅を利用する人が部屋の背景となります。上層部のブリッジはランニングコースとなり、会社帰りや乗り換えの合間に高田馬場をめぐるような感覚でランニングを楽しむことができます。

低層部中央には、多方面からアクセスできて、多くの人の受け皿となる広場を設計しました。この駅前広場は、アトリウム下部に位置し、多くの人を呼び込みます。広場のイベントステージは多くの人を滞留させます。年に一度のお祭りでは、屋台が並び、盆踊りが開催されます。
上部のブリッジにはお祭りに合わせて地域のプロモートする展示が行われ、大きな経済効果を生むことも想定しています。
また、駅ビルの裏にあたる住宅街側では、ブリッジによってリサイクルセンターと駅を接続することで回遊性を上げ、一体的な利用を促します。

街の循環器となり、地域の生活を活性化させる起爆剤としての建築の提案です。公共空間を内包した駅空間が、地域とつなぎ、様々な人が訪れる文化を紡ぐ居場所になっていきます。

講評
山中新太郎

吹抜けに面した空間がとても魅力的です。電車の動きが賑わいに寄与して、都市のダイナミズムが感じられます。一方で、吹抜け側に色々なアクティビティが寄り過ぎていて、反対の外壁側は空間が空いていて、また街に対して閉じてしまっている気がします。

富永大毅

全体的によく考えられた力作だと思いますが、高田馬場だからこそのアイディアがほしい。例えば、高田馬場駅は線路を挟んだそれぞれの街の性格が違っていますが、それらをつなぐようなデザインがあると良かったと思います。エレベーターが設けられていますが、自転車が通り抜けられるようにするなど、両者を大胆につなぐ可能性もあり得たのではないでしょうか。