SELECTION
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黒川星奈
with WORK
Super Jury

コロナ禍によって自宅で仕事をする機会が増えているので、仕事や勉強という要素を住宅に取り入れることを考えました。夫婦と子どもふたりの核家族の住宅で、柱・壁・階をずらすことによって、家族の気配を感じながらもそれぞれの作業ができる空間をつくっています。
スパンを変えた4列の柱があり、周辺環境や内部での関係を考えながら壁を立てています。さらに、柱と壁の位置を考慮しながら床レベルを変えて空間の違いをつくりました。
東側立面は全面ガラスで、外からも構成がわかるようになっています。

 

勉強室1は、家族や友人とゆったり作業できるようになっています。リビングとキッチンが見え、家族の気配が感じられます。壁はなく、床レベルの違いによって作業する空間とそうでない空間を緩やかに分けています。テラスに机を外に出して作業することも可能です。
夫婦の寝室のテラスは周囲からは見えない位置にあり、仕事に集中できます。
家族の行き来が少ない最上階の勉強室2は、柱によって個人が勉強するスペースを確保し、勉強室1より窓を少なくしています。
個室や寝室にはベッドと収納だけがあり、その部屋に籠もらず、住宅内の好きな空間を見つけて移動しながら生活します。

 

1階-1.5階平面

2階-屋上テラス平面

講評
高橋堅

細かく分けられたフロアの中に動きが限定されてしまうので、僕はスキップフロアがあまり好きではないですね(笑)。大きくて気持ちいい空間がつくれるのなら、その方が使いやすいように思ってしまいます。3つの帯状の空間の中に住空間が押し込まれているようにも見えてしまいます。

勝矢武之

今後ますます仕事と生活のモードをこまめに切り替えるような生活を送っていくなかで、社会とつながる仕事場が求められてきますが、それに応えようとしているところが評価できますし、高さのバランスなども含めてプランニングがよくできていると思います。
階段はスパンの中に中途半端に入れるよりは、どちらかに寄せて置いた方が空間の要素になったと思いました。また、直方体がずれて重なるような図式をより魅力的にするため、玄関の天井高を活かすとか、リビングの西側も水回りによって寸止めにするのではなく、断面的に解決できたかもしれません。

佐藤光彦

レイヤー状の構成は「ポストコロナ」の住宅の提案としても有効かもしれませんね。開口部だけではなく、空間的にも隣地や道路などの外部との関係性をさらに検討すると、さらに可能性を持った提案になると思います。