SELECTION
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外谷希
囲い -空間を感じる-
Super Jury

現代は共働き夫婦が増え、家族間のコミュニケーションや地域住民との交流も減るなかで、人と人のつながりを大切にする住宅を設計します。
谷中は多数のお寺が建つ地域であり、木組を建築に取り入れました。3つの木組の囲いと白いボックス、計4つの四角の組み合わせにより空間を構成します。
木組の囲いの内部は住居で、1階は「谷中スペース」として外に開き、吹抜けによって上階とつながっています。
北側はポップアップストアのスペース、南東側は野外カフェ、南西側は畳の休憩所で、街ゆく人々が気軽に入れるスペースです。

立面

2階平面

2・3階の住宅には、会社員の父、カフェを経営する母、小学校高学年の女の子と小学校低学年の男の子が住んでいて、家族が集まる中央の囲いは細かい木組でプライバシーに配慮しています。キッチン・ダイニング、ふたつの子ども部屋、リビングは床を1mずつ上げていき、空間を区切りつつ木組を介して視覚的につながりをつくります。

外観は角度によってそれぞれ印象が異なり、木組の囲いは通りがかりの人の内部空間への想像を掻き立てます。

講評
佐藤淳

日本の木造技術はとても高いので、木組は3レイヤーになっていますが、相欠きによるひとつのレイヤーに収めてほしいですね。木組は耐震要素になるので、この白い壁はガラスにするなど、たくさんの可能性があると思います。

馬場兼伸

入れ子構造という単純なルールによって複雑さを獲得し、谷中という濃密な街で開放的に暮らすためのバッファーゾーンをもった建築になっています。内部に都市的な隙間が生まれたり、セミパブリックな場をつくる方法として有効だと思います。白い壁と木組の二項対立が少し残念で、木組の活かし方がさらに考えられそうです。

津川恵理

お寺が多いこの地で、木組を用いて風景に寄せる感覚は共感できます。複雑な平面・断面を解いていて設計力の高さを感じます。住宅空間としては、木組の囲いが重なると少しうるさくなりそうなので、もう少し単純明快な面でも良かったのではないか、などと想像させられました。