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非常勤講師賞(阿蘓俊博・今村水紀・下川太郎)
矢島琴乃
オプトアウト
卒業設計
フランスの庭師、ジル・クレマンの「できるだけ合わせて、なるべく逆らわない」という植物に対する提言をもとに「雑草」に着目し、私の考える「雑草」の要素をもつ、新たな建築のかたちや空間を設計する。
1. この作品が生まれたきっかけは?
幼い頃から今も変わらず、草花や自然が大好きで、植物学に興味がありました。著名な学者から、光が当たっていない方の植物論や庭園論まで、多くの文献を拝読しました。その中で私の考える現代批判に対峙する存在である「雑草」に焦点を当て、自分なりの解釈をしながら、建築に落とし込んでいきました。
2.これまでやっておいたほうが良かったと思うこと、もしくはやっていて良かったと思ったことは?
長い時間をかけて、この作品をつくってきました。
その分、自分の考えたことを限られた時間の中で、簡潔かつ、わかりやすく相手へ伝えることがなによりも難しかったです。自分が一番作品で伝えたいことは何で、そのためにどんな素材が必要か。建築をプレゼンする上で当たり前なことを、早い段階で意識しておくことはすごく大事だと思いました。
3. 今後の抱負は?
ひとつのテーマを主軸に研究し続けることは手探りで、発表段階になっても自分に合っているのかわからず不安な気持ちでいっぱいでした。足りていない部分や発想、作品から見えてくる建築の意味など、今後につながる多くの講評をいただいたので、今回で終わりにせず設計していきたいです。
卒業設計/2023年度
ひとつひとつの屋根の形や高さ関係のルールが気になりました。
屋根が重なった4つの空間は非常に小さいと思うので、機能を入れる必要があったのかどうか、どう考えているのか気になりました。
ふわふわした状態というと風が吹けば飛ぶようなイメージなのか。素材について知りたかったです。
植物は太い枝も細い枝も大きな葉もあるので、この作品も部分的に柔らかかったり硬かったり厚かったりしてもよいと思います。しかし、それを1枚の鉄板を切り出すという操作だけで表現しようとしている点が気になっていて、もっと多様な環境を多様なもので作るという考えはなかったのかと。
雑草建築の5原則を説明している中で「自分自身の大きさを見つけること(スケール)」「失敗を重ねること」というのが、作品の魅力かなと思います。俯瞰した視点を持たないということかなと。自分のサイズはわかっているけど、集合した全体像は見えない。そして、失敗の積み重ねという原則に関しては時間軸を入れるともっといいでしょう。例えば、木々の落ち葉が堆積していくというような、他者の営みや折り重なりの中に埋もれていくようなイメージを思い浮かべました。
フラクタルは自己相似性を持っているので、今回の作品でいうとあるサイズ感で設定した部分がさらに小さい部分になっても展開されていきだんだんスケール感覚を失っていくようなイメージなのかなと思いました。