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細野開友
アボリジニの家
卒業設計
私たちは“異なる存在”とともに生きることの、そのままの価値を、素朴に肯定することを感受できているだろうか。地球上の異なる場所に生まれる相互補完的な像を距離と時空を超えて想起する。
1. この作品が生まれたきっかけは?
元々地図について興味がありました。いわゆるGoogleMapのような誰でも理解できる客観的なメディアとしての地図が果たして本当の地図なのか。地図について研究していくうちにアボリジニの人々がソングラインという見えない歌の地図を持っていることを知り、彼らの認識している世界に惹かれていきました。
2. 普段何をしているときが楽しい?
じっと想像を膨らませているとき。
3. 今後の抱負は?
人情を大切にしていきたいです。
卒業設計/2024年度
それぞれの形の形状はどこからきているのか。
▶︎全部で10個の形を作っていて、それぞれアボリジニのフリーハンドで不安定な形をモチーフに取り出しました。
2つの建物の関係性がどうなっているのか気になる。
▶︎10個のオブジェをヴォイドとしてくり抜いたものと、逆にそれらを組み合わせたものがそれぞれの建物。サイズとしては2.5倍のスケールのコントラストがあり、アボリジニの住居でキッチンだったものが、美術館ではカフェになっていたりします。
Q.機能の選定はどのように行ったのか。アボリジニの植民地の問題と関係なく考えているのなら、なぜ関係なくて良いと考えているのか。
▶︎説教くさく、植民地の問題を機能として当てはめることはしたくなかった。ただ、机上の空論だとしても、卒業設計のメッセージとして、建築は場所と場所をつなぐことができるんだということを伝えたかった。
Q.イギリスの人もアボリジニの人もこの建物が建ったときに嬉しくはないと思う。この建物を立てる意義をハッピーに解釈できる説明はあるのか。
▶︎イギリスとオーストラリアにある2つの建築物をそれぞれ訪れた人が、遠く離れた関係のない他者を想起することができれば、それは建築の喜びに繋がるのではと考えている。例えばイギリスの美術館に訪れた人が歪な展示空間に何故この形なのだろうと思い、考えをめぐらせるようなことをイメージしている。
アボリジニのモチーフを持ってきてプランを作ってボリュームにしている部分にセンスが光って面白いと思う。ただ、アボリジニの生活について深い考察があったのか疑問に思う。形態だけみるとイギリスとオーストラリアに置こうとしていたものは逆なのではないかと思う。生活スタイルに合わせた建物を考えているのか。
▶︎確かにまだ勉強が足りない部分はあると思うが、アボリジニは成果物を外にも置いて生活している民族なので、ピロティ部分や吹き抜けの天井で外部空間が感じられる構成にしている。
すごく個人的にしか分からないことを建築化する行為が、ひと昔前の建築家像に近い気がする。それを自覚しているのか、憧れがあるのか、その点についてどう思っているのか。
▶︎吉阪隆正が1番好きなのですが、そういう世界に憧れはある。
やりたいことは建築は目の前のことを解決するだけではなくて、遠く離れた人や事象に思いを馳せることができるんだよというメッセージで、これは卒業設計でしか取り組めないかもしれない課題なので、すごく評価している。