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奨励賞/設計計画系特別賞
三浦哲平
永劫の黙示録
卒業設計
モダニズムは本来、伝統の束縛から解放する自由の叫びだったが、やがて規範化し装飾を禁じ創造を抑圧した。これはつい100年前の話である。現代は異様な時代にあると感じ、この状況を乗り越えるためには、根源的な自由を持つことが重要であると考えた。その手法としてドローイングという二次元の手法を選んだ。描きながら建設根拠を探求し続けたドローイングと根拠が互いに刺激し、都市の社会問題を批判する断片的な線を描き、4ヶ月という時間軸がこの一枚に堆積している。
1. この作品が生まれたきっかけは?
ピーテル・ブリューゲルの大バベルと、野又穫さんの展覧会を見てドローイングへの興味が湧いたことがきっかけ。
2.建築学科を志望した理由は?
小学生の頃に版画でサグラダファミリアを彫刻した時に、ディティールに関心を持ったことがきっかけ。
3. 今後の抱負は?
建築の領域外にある事象や素材を意図的に建築に取り込み、それによって生まれる偶発的要素や潜在的可能性を体系的に探究したい。
卒業設計/2024年度
Q.下から描いていくという中で、フィードバックがあったりするのですか。
▶︎中層階を描いていく中で、下層階の時間の流れを感じて植物を増やしたりした。
Q.バーチャルな重力を感じたから、下から積み上げて描いていったと思うのだが、まだ説明できていない、バーチャルな避難経路とかがあれば教えてほしい。
▶︎やはり時間軸で、植物の成長や建物の崩落などがあった。
数ヶ月かけて描いた時間を感じる。あっぱれだと思う。
これを実際に作ると失われてしまうものがあるのではないか。例えばこれを模型で立ち上げると自分の意志から逸れるのか。
▶︎確かにドローイングを描いたことによって、追体験できたりするのですが、3次元に置き換えると急に面白みがなくなってしまう。自分の中でも葛藤があったが、建築学生として最終成果物で平面図と断面図を作成した。
バベルの塔のように見える。このドローイングが竣工後の絵なのか、これからもどんどんボトムアップしていくのか、気になる。
▶︎まだ描き続けていて、より良いものを作れると思ったら新しいものを描き始めると思う。
ドローイング内に人を描かなかったのはなぜか。
▶︎あえて描かなかった理由は、人を描いてしまうと第三者的目線が登場してしまうから。この絵の前に立つ人が1人目の人だというふうにしたかった。
描きたいことを描いているという気がする。自分から発するものと外からのプレッシャーの間に見るものが建築だと思うのだが、自分がなにかと戦いながら描いたという葛藤などはあるのか。
▶︎やはり建築根拠というものがあります。
ドローイングそのものが建築物であるということで取り組んでいると思うのだが、どういう建築性を2Dの画面の中に落とし込めるのかということを考えたときに、色々な葛藤がありここに行き着いたと思う。意地悪な視点かもしれないが、排他的経済水域と入力すると一部画像生成できてしまうものを実際に体を動かして制作しきったということは感動的。山口晃さんのような面白さと、ピラネージ的な重層性があって、仮想の重力で下から書き上げていっているのも説得力がある。もしまだ描き続けているのであれば、彫刻刀で掘るのはどうか。
▶︎実は海の部分をそのように表現しようと思ったが、浮いてしまったのでやめた。
建築家とアーティストと絵描きだったら何になりたいと思っているのか。
▶︎建築家になりたい。