SELECTION
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長谷川侑香
Daikanyama Tree
Super Jury

敷地周辺にある「ヒルサイドテラス」は、高低差や視線の抜けなど様々な手法で人々を奥へと誘っていますが、断面構成としては、住居部分と商業部分は分節されています。
そこで本提案では、立体的な誘いをテーマに複合施設を設計しました。
敷地中央に配置した3つの螺旋階段に、商業や住戸のボリュームを取り付け、階段同士を行き来できるよう、廊下でつなぎました。階段と室の間にはバッファー空間を設け、各室の活動が滲み出し、豊かな街のような空間になる立体路地を計画しました。例えば、デザイン事務所の前では、作品の紹介や展示が行われたり、住宅の前では植栽の手入れをしたり、ご近所さんと立ち話をする空間にもなります。

ボリュームは、主にガラス張りの開いた商業用のものと、ルーバーと壁とで構成した閉じた住宅用のものがあります。両方を組み合わせることで、SOHOや、LDKをガラス張りにした住居なども想定できます。各ボリュームの入口は土間になっており、階段周りと合わせてフレキシブルな利用ができます。

1階は敷地の高低差を利用して、視線が奥まで抜ける開放的な空間です。吹抜けを通じて2階の様子を伺うことができ、人々が上層に訪れやすい雰囲気を創出します。
2階は吹抜けにより立体的な空間を感じられます。共用部分は半屋外空間で、憩うことができるテラスを設置しています。
3階はアクティブな活動ができる共用部が特徴です。イベント広場やコワーキングスペースを配置し、デザイン事務所によるワークショップが開催されたり、楽器店前にはストリートピアノが置かれ、偶発的な交流を生み出す基礎を計画しました。
4階は静かに過ごせる共用部が特徴です。読書スペースには広々とした空間を計画しました。
5階は住宅部分以外には屋根がなく、公園のような開放的な空間になっています。

5階平面

2階平面

住戸平面

断面

ギャラリーや屋上庭園を目的として、人々が最上階まで訪れることができます。住宅と店舗の関係を見直し、立体的な奥性を見出した複合施設です。

講評
西田司

段差の計画などに「ヒルサイドテラス」の魅力を思わせる空間が見てとれます。ヒルサイドテラスは奥が見えず、見えがくれするような空間ですが、この提案ではガラス面が多く、見通しが利きすぎているように感じました。腰壁を設けるなど、もう少し視線を遮ったりする操作があると良かったのではないでしょうか。

石川初

3本の螺旋階段だけで、このような複雑な空間ができるのは意外でおもしろかったです。木が3本あると木立になるということかもしれません。住居と商業では活動の時間が違うので、照明計画まで考えることによって昼と夜の顔が異なる建築をつくり出せるのではないでしょうか。

秋吉浩気

階高や階段の幅が均質に見えますが、例えば階が上がるにつれて天井の高い場所や低い場所があるなど、空間構成をより立体的に考えることで、立体的な奥性を生み出せたと思います。