SELECTION
  • 1 / 5
  • 2 / 5
  • 3 / 5
  • 4 / 5
  • 5 / 5

優秀賞
江原悠介
Daikanyama Urban Element -代官山アーバンエレメント-
Super Jury

代官山の建築は、漠然としていて捉えどころがないように感じます。「ヒルサイドテラス」は、長い工期のなかで、時代背景の変化に合わせ試行錯誤をしてきた結果で、自由度を高めています。今なお成長し続ける代官山にふさわしい建築を考えました。
ヒルサイドテラスやその周辺から部分を抽出し、それを組み合わせることで建築を設計することを提案します。まず、ヒルサイドテラスの平面図をトレースし、気になるポイントを書き込みました。その状態で現地を調査し、立体的な情報を描き込みました。それらを元に、各ポイントの共通点を見出し分類することで、発見されたエレメント群をそれぞれ名付け、マッピングしました。この形態リサーチにより、言葉では捨象されてしまう建築の特質を抜き出し、再解釈し、設計につなげます。
抽出したエレメントを、建築家ヘルマン・ヘルツベルハーに倣いながら、16に分類しました。これらのエレメントをフレーム構造にインフィルとして入れ込むことで設計をしていきます。

インフィルの挿入過程により、部分から全体を決定していくことで、ヒルサイドテラスの誤読が起こり、不思議な空間、曖昧なファサードが生まれます。共用部では、インフィルがオーバーラップし、多彩な活動が溢れ出します。

1階には店舗、2階にはSOHO住宅、3階と4階には中廊下型の住居を計画し、各インフィルが外部に接するように計画しました。最上階の5階は、中央にインフィルを配置し、天窓を多く設けることで全体に光が入り込みます。表からは建物背後の緑が透けて見え、また、光と風が抜け、建物が街に向く形態を意識しました。

5階平面

4階平面

3階平面

2階平面

1階平面

地階平面

部分が全体をつくり、街を再認識することで、その魅力が街に伝播し、この建築が代官山の街をさらに変えていきます。

講評
秋吉浩気

よくリサーチされた、とても密度の高い提案だと思いました。N. J. ハブラーケンらが始めたスケルトン・インフィルに、クリストファー・アレグザンダーの「パタン・ランゲージ」が練り込まれているような構成です。スケルトン・インフィルの形式は建築生産の問題も孕んでいます。インフィルの部分をユニット化し、生産合理性を高めて、居住者が選択して変えられるような自由度をいかに確保するのかを考えてみるのもおもしろいと思います。

西田司

デザインコード、エレメントを複合するという考え方や設計方法に共感を覚えました。1階と2階の商業部分が吹抜けなどによりうまく設計できているように思いましたが、3階以上も共用部との関係性や縦方向の抜けを考え、下層と同じ論理で構成していくともっとダイナミックなものになったのではないでしょうか。

石川初

とてもおもしろい提案ですね。特に、言語的な理解では抜けて落ちてしまう微細な形態のニュアンスまで拾うようなリサーチが良いと思いました。この方法論を研ぎ澄ませると、他でも応用可能なものになると思います。