SELECTION
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山口弥華
uzu -引き込まれる広場-
Super Jury

子ども食堂は、食事をするだけでなく、読み聞かせなど教育施設としての役割や、災害時の避難所としての機能も兼ね備えた地域施設です。多くの人々に認知され、安心して利用できる建築を計画することが期待されています。
敷地には、北西から南東にかけて1.2mの勾配があります。周辺道路は幅員が比較的狭いため、車の往来は多くありません。近くには健康遊具ランドと公衆トイレがあり、幅広い年齢層の地域住民が訪れています。公園は多様多種な木々が緑豊かな風景をつくり出していますが、一方で子ども食堂の主な利用時間である日没後は、樹木が視線を遮ってしまうという課題があります。
これらの条件から私は、渦状の形態を用い、公園全体を明るく照らし、誰でも利用でき、安心して子どもを預けられる子ども食堂を計画しました。

配置

敷地周辺の人々の動きを引き込むようなこの形状は、地域との連続性を生み出します。地域の人々の視線が通るようになることで、安全性が生まれます。
また敷地の勾配から、スロープで通り抜けられる動線を計画し、バリアフリーにも配慮しました。地上レベルに設けた高低差のある空間は、子どもの遊び場としてもふるまいます。

渦状の天井を支える列柱が公園の樹木のように緩やかに空間を仕切ります。平面は、子どもたちが孤独を感じないようになるべく角や隅をなくし、広々としたオープンキッチンで夕食の準備を手伝うことができます。

平面

建築全体を照明と見立て、夜間はハイサイドライトから屋根に反射した光がこぼれ、敷地全体を照らします。地域の人々が引き込まれ、地域に根付いた施設として利用されていきます。

講評
石川初

敷地の微妙な高低差をうまく設計に取り入れているところが良いと思いました。もう一歩大胆に切り込んで、スリバチのような地形をつくってみてもフィットするような予感を得ました。雨の日には、渦状の屋根を伝って、結構な量の水が中央に集まるなど、人のみならず自然まで巻き込んでいくような建築にもなりそうです。

西田司

断面のつくり方がとても良いと思いました。渦状の屋根も地上の一部として立ち上げたり、構造的に成り立たせるような方法もあったのではないでしょうか。室内だけでなく、室外の屋根の下の様子をさらに平面的にも描くことができると、提案をより魅力的に伝えることができたと思います。

秋吉浩気

丁寧なリサーチを活かして、具体的な時間軸の動きや運営の体制、関わる人々を想定し、そこからフィードバックが得られると、より新しい建築のあり方を提案できると思います。