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奨励賞・設計計画系特別賞・非常勤講師賞(横井創馬)
工藤朱理
祈り、生きる建築ー焼損した江袋教会から始まる新たな信仰のかたちー
卒業設計
教会が燃えた。このとき建築は建物から解き放たれ、集落中が教会になった。教会という建物に行くことが目的化しつつある今、カトリックの本当の目的である集うことを再確認し、新たな信仰のかたちを考える。
1. この作品が生まれたきっかけは?
私は丹下健三の「東京カテドラル聖マリア大聖堂」に入ったときに外界と切り離される感覚を得て、心が震え、それをきっかけに教会建築に興味を持ちました。その一方で「天寿を全うする建築」という建築の生命性のようなものにも興味を持っていました。
そんなとき目に入ったのが、江袋教会の焼損した写真です。不謹慎ですが、教会が燃えたことによってその美しさや魅力を引き立たせ、ここで生きてきたことを知らせているように感じました。そこから私の卒業設計は始まりました。
2.普段何をしているときが楽しい?
研究室の仲間と話している時が楽しいです。私たちは2年生までコロナ禍ということもあり、通学がほとんどできませんでした。そのため研究室に入ったことでようやく本来の建築学生としての大学生活を楽しめている気がします。
卒業設計で悩んでいるときも、みんなで徹夜しているときも仲間と話すことで元気を貰うことができました。このような些細な会話が私が大学に楽しく通えていた理由の1つだと思います。
3. 今後の抱負は?
今回の卒業設計に満足することなく、自分の課題である設計力の強化を行いたいと思います。私は大学院に進学するため、ありがたいことに設計を学べる機会がまだ2年間もあります。この機会を大切に使い、自分のものにしていき、学生の集大成である修士設計に向かって今から努力を重ねていきたいと思います。
卒業設計/2023年度
この街にとってシンボルである教会は、場所として残すけど、解体されたままにするということはオブジェクトを否定することになるなと。そう考えたときに青い屋根がとてもオブジェクティブに感じたので、そのコントラストについてどのように考えているか気になりました。
3つの建物の見た目がバラバラですが、集落の中からサンプリングしてきたものなのかなと。3つの建物をだけでなく、集落を巡る中で街ぐるみ的に教会を体験できる施設だと思いました。
実際にこの場所を訪れていなくても、模型を見て「静けさ」のようなものがすごくよく現れていると思いました。焼けたものを直してイノベーションして観光客を呼ぶとか、そういうことじゃないんだろうなと。住民たちの生業の一部としてどういうふうに継続していくのかということを考えたときに、豪華でなく、屋根があればいいやじゃないですけど、繋ごうとしたことがわかります。ポップなものを求めていないということが、恐らく宗教の場としてふさわしいし、この街に行ってみたいなと思わせてくれて良かったなと思いました。
限られた手数で国家的に作っているなと思いました。この教会を再建しないという判断がかなり重要だと思うので、この焼損してしまった教会を眺めるギャラリー的な施設にするということが村の人にとってどのような役割を果たすのか気になりました。
このストーリーがすごくいいなと思います。生活の中に同化して宗教施設というより公共施設になっていく。ただ、私としては宗教って形式性を求めていると思うので、帰結として無くなるというのはないんじゃないかと思っています。朽ちて基礎の石が残るというのはわかりますが、再建するまでのひとつのミッションとして今回のストーリーがあるほうがいいのではないかという気がしました。
隠れキリシタンの延長として、この土地特有のカトリックの文化的なものがのこっているのではないかと思います。そういう土着的なものを設計の仕組みに反映するとなお良かったと思います。
価値が高い改修方法を発見したなと思います。予算に対して、集落全体で捉えていますよね。ただ、この集落でキリスト教を信仰する人ばかりが増えるわけではないないし、観光客も増えてしまうなと思うんです。その点をインタビューなどを通じて、カトリック以外の信仰の人が住むことは考えられないとドライで現実的に捉えている点が好感を持てました。