SELECTION
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渡邊優希
自由な住宅
Super Jury

「LDKを元に作られた住宅は人の行動を制限しているのではないか」という考えのもと設計を進めた。住まいの主役は建築ではなく住む人。住む人が自分自身で居場所を探すためには、どのようなスケール感が相応しいだろうか。

1. この作品が生まれたきっかけは?

今回の作品は、「住宅においてLDKをなくしてみたらどのような空間が生まれるのだろう」という疑問から始まりました。LDKに囚われずに、人が好きな場所で好きなことを出来たらいいなと思い、設計者としてできることを考えました。「好きな場所で好きなことを」と考えると、とても難しかったです。

実を言うと、設計が滞っていた週もありました。エスキスの時に何も新しい案が思い浮かんでいないみたいな…。机に頬杖をついて考えてるときに、友達が来て机に座って「設計どう?」なんて聞いてきました。私は「そこ座るところじゃないんだから」と思いましたが、そこから思いつきました。

「誰かにとっての机が誰かにとっての椅子だったり、床だったり、ベッドだったりしたら面白いのでは?」と。そして、スラブの高低差で人の居場所を作ってみようとなりました。偶然生まれたように見せたかったので、私の意図が反映されないように地図からスラブの形や高さを決めました。

2.普段何をしている時が楽しい?

友達と建築を見に行っている時がいちばん楽しいです。散歩と称して1人でぶらぶら見に行くのも好きなのですが、友達と話しながら見てると自分では気づきもしなかった部分に友達が気づいてくれることがよくあります。大阪に建築旅行に行ったときもとても楽しかったです。自分の視野も広がるし、楽しいのでそういう時間がとても好きです。

3. 今後の抱負は?

今回、SUPER JURYの発表で自分の考えを分かりやすく他者に伝えることの難しさを知りました。今後は設計の面でも、もちろん精進していきたいと考えていますが、他者に自分の設計(考え)を分かりやすく伝えることを1番に努力していきたいです。そのために、考えたことをノートに書いておいたり、他の人の発表方法を研究したりしたいと思います。

講評
伊藤暁

LDKで個室に分かれていても各部屋の使い方はさまざまだし、自由に使う方法は考えられます。逆に段差があることで自由な使い方を制限してしまっているとも考えられます。言い方によって自由度はどうとでも捉えられるので、「自由」ということに関してもう少し深い考察と説明が欲しいと思いました。空間に対する信頼がすごく伝わってきて、それにチャレンジしているのはすごく良かったです。

岩瀬諒子

大胆な発想で住宅というイメージから乖離しているのが印象的でした。最初の目的である人の行動を規定しない、自由を与えるという設計を実現しようとするとユニバーサルスペースっぽくなるのかなと思ったんですが段差だけは作っていた点が気になりました。段差自体が人の行動を規制することにつながらないのかなと。あと自由度に関していうと、水回りを固定してしまった点は気になりました。