レポート
2022年度 桜建賞審査会(卒業研究賞審査会)|構造系
by 鴛海昂

桜建賞審査会(構造系)が、2023年2月8日に開催されました。桜建賞審査会とは、日本大学理工学部建築学科の設計計画系(設計・論文)、構造系、環境系の各系における、その年の卒業研究の賞選考会になります。日本大学理工学部建築学科では、3年生の後期から研究室に配属され、座学や実験実習の講義に加えて、研究に取り組むため、卒業研究は約1年半の集大成として位置づけられます。

数多くの教員及び研究室を有する日本大学理工学部建築学科の中で、構造系は9つの研究室、18名の教員を有しています。構造系という1つの大きな分野の中でも、研究室で専門とする分野は異なり、学生が様々な専門性を学ぶことができる環境が整えられています。今年は、この構造系の研究室で102名の学生が卒業研究に取り組みました。今回の審査会(構造系)は、各研究室から推薦された7組(9名)の卒業研究が選考対象となり、発表内容も多岐にわたりました。

近年は新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、この審査会はオンラインでの開催としていましたが、今年は久しぶりに対面での開催とし、発表者及び教員以外にも、4年生や3年生も会場で参加しました。久しぶりの対面開催であったこともあり、発表後の質疑応答は活発な議論が行われました。

ここで、構造系の卒業研究について簡単に触れると、各研究室によって進め方は多種多様です。学生個人で研究を進める場合もあれば、何名かのグループで研究を進める場合もあります。また、研究内容も、教員の専門分野の既往研究をよりブラッシュアップするような研究や、学生の興味・関心から生まれた新規研究など様々です。これらの研究の進め方も、研究室それぞれの特色といえるでしょう。

厳正なる審査の結果、今年の受賞研究は以下のようになります。どれも大変興味深い内容で、学生からは熱のこもったプレゼンがありました。

・桜建賞(最優秀賞)
「モード合成法による最大加速度応答の推定方法 -粘性減衰と履歴減衰を併用した基礎免震モデルについて」
「セメントの種類が異なるセメントペーストの結合水率および圧縮強度に関する検討」

・駿優賞
「クメール宗教建築の基壇の版築技術に関する研究 -針貫入試験を用いた版築土の強度評価-」
「木製遊具の維持管理に関する研究 -点検状況に関する聞き取り調査及び現地調査-」
「繊維補強セメント複合材料の曲げ特性に関する解析」

・奨励賞
「カゴメ格子状配置のプリベンディングアーチにより構成されたドームに関する基礎的研究」

最後に、これは筆者の考えにはなりますが、学生にとって卒業研究は、研究成果の充実度、出来栄えも重要であるものの、最も重要なことは卒業研究を進めたプロセスにあると考えています。大学の講義等では学びきれない、専門分野の知識やある目標に対する問題解決への思考能力、を教員のサポートを受けながら培うことができます。このプロセスは、社会に羽ばたいた後も必ず役に立つと思います。

学生の皆さんは本当にお疲れ様でした!

by 鴛海昂

1994年、東京都武蔵野市生まれ。私立成蹊高等学校卒業/2017年、日本大学理工学部建築学科卒業/2019年、日本大学大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻修了/2019~2022年、 (株)日建設計 勤務/2022年~日本大学理工学部建築学科

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