無響室内で心に”響く”音楽空間を創造する
響きのよいコンサートホールとは? 演奏者にとって演奏しやすい建築空間とは?
私たちの研究室では音楽演奏を楽しむための建築空間について演奏者と聴衆の双方の立場から研究を行っています。舞台上での素晴らしいオーケストラ・アンサンブル演奏や歌手の美しい歌声は舞台上から半球状に放射され、ホールの壁や天井で何度も反射を繰り返しながらその空間独特の響き(残響)を伴って聴衆の耳に届いています。よって音楽演奏が行われる場として空間内の響きはホールの設計上とても重要となります。私たちは“ホール空間自体が楽器である”と考えています。皆さんはコンサート会場によって異なった音の印象をもったことはありませんか? 空間の容積や形状、さらに内装材による反射特性の違いによって空間内の響きが異なるため、空間用途に応じた室の響きの最適解を求める必要があります。演奏者にとって自在な音楽表現が可能となり、豊かな響きのベールを纏った反響音が聴衆の心に響く音楽空間を創造したい。そのためには建築空間の“響き”の探求が必要です。この研究を行う上で欠かせない研究施設が「無響室」です。「無響」とは文字通り一切音が響かないということ。その空間のみが保有する響きの実体を解明し、空間ごとの響きの特長を比較検討するための実験フィールドとして、音の色付けが一切ない“響きゼロ”の空間が必要となります。歌声や生楽器の演奏音にコンピュータシミュレーション(音響CAD)で構築した響きのデータを掛け合わせた音楽演奏音を、響きゼロの無響室内において複数のスピーカを使って立体音場として再現すれば、実際のホールの客席で演奏を聴いているような空間体験が可能となります。私たちは、この実験空間を利用して聴衆による音楽空間の音場評価はもとより、楽器を奏でる演奏者周りの反響空間のシミュレーションを行ってリアルタイムな音楽演奏体験を通した舞台上空間の音場評価も行っています。
無響室 環境・音響工学研究室(橋本研究室)
演奏者による音場評価実験(無響室)

ホール内音響のシミュレーション例(舞台上からの音伝搬の様子)
アンサンブル演奏による音場評価実験(1号館CSTホール)
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