海外出張・研修レポート
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海外研修旅行2019 No.4”築150年以上の建築物に囲まれて”
by SHUNKEN編集部

海外研修旅行レポート From SHUNKEN 2020 Jan. vol.47 no.4

 

私が、今回の海外研修で最も印象に残っているのは、サクラダ・ファミリア贖罪教会である。まだ海外研修3日目の見学ということもあって、非常に衝撃を受けた。ファサードはテレビや写真でよく見ていたが、内部に入り、その美しさに圧倒されたのを覚えている。息をのむ美しさとは、このことかと思った。

サクラダ・ファミリア内観。ガウディの「森」のイメージを忠実に表している。

パリのノートルダム大聖堂の尖頭が焼失したとき、再建案をコンペで決めるというニュースが世間を驚かせたが、別段に新しい思想ではないのかもしれない。ヨーロッパでは、用途変更が盛んに行われ、ひとつの建築に新たな価値観や要素が追加されていった。駅舎を現代美術館に改修したものを見学したが、躯体をそのままに、表皮のみ変更している例が多く、その中に奇抜な現代美術(見ていると自分の常識が音を立てて崩れ去るような錯覚に襲われた)が表皮の一部と化しながら展示されていた。有名なモンサンミッシェルも、増改築の末に現在の姿となっている。ロマネスク様式教会として建造された後、要塞、牢獄とその用途を変えていった。聖堂の半分が破壊され、その後、修復されたが、当時の主流はゴシックであったため、ゴシック様式で修復された。それらのことによって、同一空間にロマネスクとゴシックが混在している、非常にカオスなものとなっていた。

そのような文化の結果、街中では、築150年、200年といった建築がゴロゴロしている。日本ではありえない光景だろう。ぜひ体験してもらいたい。

モンサンミッシェル身廊。手前の半円アーチがロマネスク、奥の内陣の尖頭アーチがゴシック様式。

TEXT=水津融(3年|空間構造デザイン研究室)

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