

2025年6月10日(火)から18日(水)にかけて、日本大学大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻1年(都市計画研究室(泉山ゼミ))の細矢瑞稀と指導教員の泉山塁威准教授が、アメリカ合衆国のミルウォーキー市で開催されたThe 12th International Public Markets Conferenceへの参加と、ロサンゼルス市においてマーケットに関する研究調査を行いました。なお、今回は、一般財団法人第一生命財団による一般研究助成の一貫としての研究調査を行いました。
International Public Markets Conferenceは、公共空間の活用や支援を行うニューヨークのNPO法人であるProject for Public Spacesの主催により開催されるパブリックマーケットに関する国際会議です。国際会議は2年に1度開催され、2025年はアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキー市で行われ、マーケットの実務者の発表の傾聴や参加者との交流をしました。
また、この国際会議と併せて、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス市、サンタモニカ市のファーマーズマーケットであるMar Vista Farmers Marketと Santa Monica Main Street Farmers Marketにも足を運び、研究調査を行いました。
パブリックマーケットカンファレンスへの参加
The 12th International Public Markets Conferenceでは、マーケット運営者や行政、BID(Business Improvement District)などの専門家によるパネルディスカッションや学術発表がありました。
100年以上前から続くマーケットの運営者の発表もあり、持続的にマーケットを運営するための戦略やマーケットが地域にもたらす役割を学びました。

ウィスコンシン州ミルウォーキー市で開催されたThe 12th International Public Markets Conference(筆者撮影)
また、現地のマーケットを見学するツアーにも参加しました。
公園や道路、広場で開催されるマーケットを来訪しましたが、空間の形状や大きさに合わせた配置計画が特徴的で、仮設の什器設置やプログラムによるアクティビティが意図的に生み出される空間、芝生や常設の空間によるアクティビティが偶発的に生まれる空間の双方を有することで、マーケット内に人々の多様な活動があらわれ、長時間の滞在や賑わいの創出につながっていると感じました。

ウィスコンシン州ミルウォーキー市のマーケットにおける公共空間の活用と人々の活動の様子(筆者撮影)
ファーマーズマーケットの調査
カリフォルニア州ロサンゼルス市、サンタモニカ市のファーマーズマーケットの調査では、運営者へのヒアリングから、どのようにして地域に貢献した運営を行っているのかを学びました。
また、アクティビティスキャン調査(目視による人のアクティビティの抽出による空間調査)から、人々のアクティビティがどのような空間で活発に行われているのかを把握し、実際に地域のコミュニティ活動が行われている様子を体験しました。

カリフォルニア州ロサンゼルス市のMar Vista Farmers Market(筆者撮影)

カリフォルニア州サンタモニカ市のSanta Monica Main Street Farmers Marketにおける地域のコミュニティ活動の様子(筆者撮影)
アメリカのファーマーズマーケットは、単なる買い物の場としての役割だけではなく、コミュニティ活動や多様なアクティビティが生まれる場であり、これらを促す空間が構築されていることが印象的でした。
日本国内に比べ、今回訪ねた海外の公共空間は利活用が活発であり、人々の多様な活動が見られました。海外都市を訪れた際には、建築物はもちろん、その周辺の公共空間や人の活動にも着目してみると、視野が広がり新たな発見を得ることができると思います。
皆さんも、多くの実体験を重ねる中で、建築物だけでなく、周辺の空間を含めて都市を観察してみてください!
文責:細矢瑞稀(日本大学大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻1年 都市計画研究室(泉山ゼミ))
