海外出張・研修レポート
海外研修旅行2025│レポート
by SHUNKEN編集部

大形 一誠(建築学専攻博士前期課程1年|建築計画研究室(佐藤慎也・大川碧望ゼミ))

 

今回の海外研修旅行では、ヨーロッパを巡りながら多くの美術作品や建築物を訪れた。各地での体験もさることながら、長い移動時間の中で感じたことが、私にとってこの旅の核心だったように思う。

バスでの移動が多く、参加者それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。

眠る人、パソコンを開く人、談笑する人。

私はいつも外を眺めていた。パッと目に入ってくる、何か「面白い」と感じるものに出会いたいからだ。見逃さないように、じっと窓の外を見つめる。

車窓の風景は国を越えて変化していく。何事もなかったかのように国境を越えるバス。

私たちは普段、地球という球体の上を歩いている。小さな一歩の連続が、スケールを横断する大きな動きにつながっている。そんな地球の連続性を体験として感じとりながら、外を眺めていた。

写真1: 車窓から撮りためていた給水塔?シリーズ1

写真2- 車窓から撮りためていた給水塔?シリーズ2

写真3: スイスにて、ヘルツォーク&ド・ムーロン建築を見てまわる道中 (photo by: Shieri Kinjo)

 

尊敬する佐藤慎也教授と旅を共にできたことも、この研修の大きな収穫だった。慎也先生の「解像度」で展示空間や美術作品を観察する姿勢に触れ、自分との見方の違いを実感した。見てきた経験値の差が、そのまま空間や作品の読み取りの差として現れる。けれど、少しずつ自分の見ている解像度と慎也さんの解像度が合ってくる瞬間もあった。研修旅行を通して、築き上げれた「解像度」を忘れないように、日本に帰ってきた今も美術館に出向くようにしている。その感覚は絶対に忘れちゃいけない。ようやく掬い上げられたと思ったのに、指の間からするりと落ちていきそうで怖い。何度も繰り返して、自分のものにしたい。そんな気持ちが今も強くある。

写真4: どこを改修してどこを残すのかを考えさせられた「パレ・ド・トーキョー (2002)」

写真5: 改修されていない壁面に作品が展示されている様子。「パレ・ド・トーキョー (2002)」展示空間の歴史性、時間の経ちかたを作品と同時に見せている

写真6: なぜか残された謎の柱(写真中央)「パレ・ド・トーキョー (2002)」

写真7: 改修前の図書館部分で行われていたWolfgang Tillmans展「ポンピドゥーセンター (1977)」

既存の図書館にあった本棚をそのまま展示壁にしている様子。

写真8: 改修前の図書館部分で行われていたWolfgang Tillmans展「ポンピドゥーセンター (1977)」

あえて天井を見せるように、鏡面加工された机(写真右下)が他の展示机にまぎれて配置されている。

写真9: 改修前の図書館部分で行われていたWolfgang Tillmans展「ポンピドゥーセンター (1977)」

紫色のカーペット部分は本棚があった場所であり、壁面に飾られた作品(写真左)を見るのに適した距離分の本棚が除かれている。

 

気づけば、17日間に225kmも歩いていたという。それは東京から静岡県浜松市手前の距離に匹敵する。歩くことでしか得られないスケール感や体験の積み重ねが、今も身体に残っている。

この研修旅行で私は、建築や美術作品を見る目だけでなく、すべての瞬間に、何かを発見できる余白があることを再認識できた。これからもその余白を見逃さずに、建築や世界と向き合っていきたい。

by SHUNKEN編集部
ハッシュタグ
👉
WHAT'S SHUNKEN WEB