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建築設計(古澤ゼミ)研究室の古澤大輔先生(理工准教授)が考える“建築の面白さ”
by SHUNKEN編集部

リアルとアンリアルを横断する経験の楽しさ

建築って本当に面白いものなんだっ!と実感したのは、確か学部の3年生頃だったと記憶しています。3年生くらいになると建築理論の難解な書物などに触れるようになるのですが、当時の僕は、このような書物を通じて、建築の抽象的な側面に興味を持ちはじめました。と同時に、建設現場でのアルバイトを経験し、建築物が具体的につくられていく迫力に圧倒されました。建築ってリアルとアンリアルの両極が同居していてとても魅力的だな、と感じたのを覚えています。教員になってからは、この面白さを学生たちと共有したいと思いながら、研究・教育に携わっています。

そんな思いから、最近、研究室のゼミ生たちと一緒に2つのプロジェクトに取り組みました。老朽化したアパートのリノベーションの仕事です。案を決める段階では、ひたすら抽象的な議論を重ねました。空間の中心性とは何なのか? エレメントの時間的表現は可能か? 柱梁の視覚的意味とは? 空間の空隙とは? などなど……。そうした議論を経て、学生たちが考えた提案はとても面白いものでした。ひとつは、空間の中心に意味の不在な空虚な柱が屹立している案。もうひとつは空間全体を水平方向に切断し、目線の高さに空隙を設ける案です。アパートのオーナーに学生たちが模型や図面でプレゼンテーションし、ふたつとも採用されました。

その後、具体的につくるための詳細な実施設計図書を学生たちが描き上げました。そして、工務店に見積もりを取って何度も金額調整を行ってから着工しました。学生と現場に何度も通いながら進捗を確認し、先日、無事竣工しました。完成された空間の中で、ゼミ生たちと感想を述べあったのですが、そこで見た彼らの表情は、これまでで一番輝いていたと思います。建築のリアルとアンリアルな側面を横断した彼らの経験は、僕が学生時代に感じた、あの感覚に近かったのかもしれません。この面白さ、ぜひ皆さんとも共有したいと思っています。いずれにせよ、建築は面白いのです。皆さん、楽しみにしていてください。

 

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