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地域デザイン研究室の山中先生(理工教授)が考える”建築の面白さ”
by SHUNKEN編集部

集落調査~建築の設計~地域のデザイン

最初に海外の集落調査に行ったのは、インドネシアでした。バリ島、スン バ島、サブ島、イリアン ・ ジャヤ、チモール島、カリマンタン島など、伝統的な集落を2ヶ月にわたって調査しました。赤道直下の照リつける太陽のもとで、夢中になって住宅の因面や集落の配置図を描いていました。ちょうどM2になる24歳の春でした。その頃、私は日大理工建築 で黒沢隆先生のゼミで学んだ後に東京大学 大学院に進学して原広司先生の研究室に通っていました。 インドネシアの高床式の伝統的な家屋の複雑な内部空間や集落配置に魅了されて、建築空間の断面系列に関する研究を行いました。

インドネシア・スンバ島の伝統的住居の断面図。

設計の実務をはじめたのは、大学院生のときです。北海道の美瑛という風景の美しい町にシリンダーハウスという私にとって最初の建築作品ができたのが27歳のときです。研究をして、設計をして、雑誌に原稿を書いてと,20代の後半はあっと いう間に過ぎていきました。
博士論文を書き終えて、自分の設計専務所を構え、本格的に住宅や集合住宅、店舗などの設計をはじめたのが30歳。できたばかりの設計事務所に、ある日まちづくりの相談が舞い込んできました。今でも研究室のプロジェクトとして継続している下田市の地域再生の相談です。古い家並みを使い、まち全体を連鎖的にリノベーションさせる 「下田リノベーション計画」という計画を思いつき、市の依頼を受けて計画書をつくリ上げました。これが私にとって地域デザインのはじまりでした。下田の街並みを悉皆調査したり、古い製氷工場の保存活用を考えたり、古い民家をリノベーションしたり、地元の 住民の皆さんや行政の方などと地域の再生について議論をしたり。下田ではひとつの地域との関わリの中で、調査や研究、設計や地域計画が同時に展開していく経験をしました。 大学で研究室を持つようになって、川崎市や石巻市 ・ 雄勝地区、焼津市 ・ 花沢地区などへも活動の場が広がっています。

私は、建築を設計することも、地域の研究や計画を行うことも、クリエイティブな行為だと思っています。研究室では、設計も論文も同じように指導します。建築や地域をつぶさに観察して、自分のア イデアを練り上げ、カタ チにしていく。その結果、人やまちが少しずつ変わる。そんな醍醐味を感じることができたときに、設計や地域デザインの面白さを実感します。だから建築は面白い。

下田市旧澤村邸改修(設計:山中新太郎・落合正行・山中新太郎建築設計事務所)。

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