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地盤基礎研究室 卒業生が考える”建築の面白さ”
by SHUNKEN編集部

見えない地中で建築大きく支える

私が大学に入学した頃は、設計(いわゆる意匠設計)をするつもりでしたが、すぐに不向きだと気づき、構造分野に軌道修正しました。構造設計に進んでも役に立つと思い、安達俊夫教授の研究室(現:地盤基礎研究室)に入り、研究を行っていたところ、縁があって、卒業後も建設会社で地盤・基礎構造の研究開発を行っています。

大学での研究は室内での要素試験や模型実験が中心でしたが、民間企業での研究開発は原位器での実大実験を行うこともあります。試験体は実際の施工重機を用いて実施工と同様の手順で作製します。柱や梁の構造実験とは異なり、屋外で実験を行うため、試験体だけでなく、載荷のための反力装置(主に杭やアンカー)も施工しなければなリません。雪降る真夜中の実験もありました。
地盤・基礎分野は、建築物が竣工した後ではまったく見ることができません。しかし、基礎構造の設計・施工が適切に行われないと大きなトラブルにつながることは、近年の事例でご存知と思います。基礎構造の設計は、構造設計者で対応できないことが多く、超高層建築物の基礎設計を行うこともあります。また、地下室を有する建築物では、掘削のための山留め壁、鉄道などのインフラ構造物が近接している場合は、工事を開始するための協議と地盤基礎の知見なくして建築物は完成しません。
地盤・基礎は建築物の印象や使用感に影響しないためか、建築分野では異質に見られることが多いです。しかし、基礎がしっかりしていないと建築物は領き、山留めができないとそもそも建築物は建ちません。だから建築は面白い。

たぐち·ともや:2008年日本大学大学院理工学研究科博士前期糧建築学専攻修了。 2008年戸田建設入社。

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