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RC構造・構造解析研究室の田嶋和樹先生(理工教授)が考える”建築の面白さ”
by SHUNKEN編集部

多種多様な生き方の人間を受け入れてくれる建築の世界

おそらく、私は建築がそれほど好きではあリません。建築との関わりはもう 25年 になるのですから 、きっと真実です。私が建築の世界に興味を持ったのは、父親の影響でした。某競馬新聞の記者であった父は、その方面では有名でしたが、建築とは無関係でした。そんな父親との会話に、なぜか時折、建築家が登場したことを覚えています。父に憧れていた私は、自分の名前が世の中に残る仕事をしたいと考えていました。そして、父との会話を通じて、正体が良く わからない建築の世界 が私に近付いてきたように思います。

建築学科への進学を控えた高校3年生の冬、兵庫県南部地震が発生しました。テレビに映し出される被災地の光景は、私が想像していた建築の世界とは異なる姿でした。そして、建築の世界に生きることの意味をしばらく考えていたように思います。

建築家は諦めたけど鉄筋コンクリートに惹かれて建築の世界へ建築戻ることに

その後の大学生活では、まさに運命的な出会いを経験しました。3年生のときには、非常勤講師をされていた建築家の坂茂氏と出会い、建築家の仕事の素晴らしさを知る とともに、その道を諦める決断をしました。建築設計以外の世界に進路を変更し、4年生になって白井伸明教授の研究室の門を叩くと、鉄筋コンクリ ー トの難解な世界に魅了されました。ひたすら研究に夢中になり、27オまで学生を続ける決断をしました。

そして、今。巡り巡って兵庫県南部地震を適じて高校生のときに考えたことが研究のモチベーションになっており、論文を通じて自分の名前を世の中に残せるようになリました。私は建築がそれほど好きではありませんが、鉄筋コンクリートの研究は大好きです。建築の世界には、紆余曲折する人生を許容し、建築がそれほど好きではないという人 間ですら受け入れる懐の深さがあります。だから建築は面白い。

兵庫県南部地震直後の神戸市内の様子。 震災から3年後、 進路変更した後に訪れたとき、復興が進む様子を見て気持ちを新たにしました。(出典:日本建築学会・土木学会編:1995年阪神・淡路大震災スライド集,丸善,1995)

 

 

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